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目次

はじめに

自動車部品や産業機械部品などの製造現場では、鍛造やプレス加工によってさまざまな製品が生産されています。

こうした加工で安定した品質を実現するためには、高精度な金型が欠かせません。

そして、その金型の性能を支える重要な構造体が「ダイセット」です。

ダイセットは、金型をプレス機へ固定し、上型と下型の位置関係を高精度に維持する役割を担っています。

本記事では、ダイセットの構造や種類に加え、閉塞ダイセットとセンシングダイセットについて、それぞれの特徴やニチダイの技術を紹介します。

この記事でわかること

  • ダイセットの役割と基本的な構造
  • 冷間・温間・熱間鍛造用ダイセットの特徴
  • 閉塞ダイセットの仕組みとメリット
  • センシングダイセットの特徴とデータの活用方法
  • ニチダイのダイセット技術と強み

ダイセットとは

ダイセットとは、金型をプレス機に取り付け、上型と下型の動きを正確にガイドする金型の基盤となる構造体です。
一般的なダイセットは、プレート、ガイドポスト、ガイドブッシュなどの部品で構成されます。
鍛造やプレス加工では、金型に大きな荷重が繰り返し加わります。

ダイセットは、こうした加工の中で金型の動きを支え、上型と下型が正確に動くようにガイドします。
ダイセットは製品形状を直接成形するものではありませんが、金型を正確に動かし、安定した加工を支える重要な構造体です。

ダイセットの構造

ダイセットは複数の部品によって構成されています。ここでは、代表的な構成部品について説明します。

プレート

プレートは、金型を固定するための部品です。

金型を保持するとともに、加工時に発生する荷重を受ける部分でもあります。

上側と下側のプレートにそれぞれ金型を取り付け、プレス機の動きに合わせて成形を行います。

ガイドポスト

ガイドポストは、上型と下型の位置関係を高精度に維持し、安定した鍛造・プレス加工を支える重要な部品です。

金型の上下運動を正確に案内することで、加工精度の維持につながります。

そのため、ガイドポストには高い位置精度や真直度が求められます。

ガイドブッシュ

ガイドブッシュは、ガイドポストと組み合わせて使用される部品です。

上型と下型が滑らかに移動できるようにし、金型同士の位置ずれを防ぐ役割を担っています。

ガイドポストとガイドブッシュを組み合わせることによって、金型の安定した上下運動を支えます。

ダイセットの精度が重要な理由

鍛造やプレス加工では、金型そのものの精度だけでなく、上型と下型の位置関係を正確に保つことも重要です。

ダイセットは、ガイドポストやガイドブッシュなどの部品によって金型の動きを案内し、加工時の位置関係を保つ役割を担っています。

特に、加工を繰り返す生産現場では、金型を適切な位置で動かし続けることが求められます。

そのため、ダイセットを構成する各部品の精度だけでなく、それらを組み合わせた状態で、金型を正確にガイドできることが重要になります。

このように、金型だけでなく、それを取り付けるダイセットの精度も、安定した加工を実現するうえで重要な要素となります。

ダイセットの種類

ダイセットには、加工方法や使用条件によってさまざまな種類があります。

ニチダイでは、冷間・温間・熱間鍛造用のダイセットに加え、閉塞ダイセットやセンシングダイセットを展開しています。

冷間鍛造用ダイセット

冷間鍛造では、材料を常温で加工します。

ニチダイの冷間鍛造用ダイセットでは、鍛造品質や金型寿命、段取り替えなどを考慮した設計を採用しています。

また、ガイドポストにはボールリテーナーを使用し、クリアランス0とすることで、金型の同軸度を重視した設計としています。

温間鍛造用ダイセット

温間鍛造では、材料を加熱した状態で加工します。

温度条件を伴う加工となるため、使用環境を考慮したダイセットが必要となります。

ニチダイでは、金型内部に冷却回路と配管を組み込み、金型の冷却に対応しています。

また、金型交換を効率的に行える構造も採用しています。

熱間鍛造用ダイセット

熱間鍛造では、高温に加熱した材料を加工します。

ニチダイの熱間鍛造用ダイセットでは、工程間の荷重差によるスラストを抑制する構造と、自動搬送に対応した設計を採用しています。

また、高温素材の影響を受けやすい金型に対して、強制冷却を前提としたダイセット構造としています。

閉塞ダイセットとは

閉塞ダイセットとは、ダイセット内部に閉塞機構を組み込んだものです。

閉塞鍛造では金型を閉じた状態で材料を成形します。

ニチダイでは、ダイセット内に閉塞プレスの機構を組み込んだ簡易閉塞ダイセットを展開しており、閉塞力を制御することで横方向へのバリを防止しています。

閉塞ダイセットには、閉塞する箇所によって片側閉塞と両側閉塞があります。

ニチダイの片側閉塞ダイセットではベベルギヤやインナーレース、両側閉塞ダイセットではスパイダーやレブロジョイントなどの鍛造が可能です。

また、閉塞機構には、コイルスプリングを使用するバネ閉塞、ガスシリンダーを使用するガス閉塞、油圧シリンダーを使用する油圧閉塞があります。

ニチダイの閉塞ダイセット技術

ニチダイの閉塞ダイセットの特徴の一つが、パンタグラフを用いた機構です。

両側閉塞では、パンタグラフによって上下パンチの速度比を制御できます。

また、バネ・ガス・油圧の各閉塞方式について、ニチダイでは顧客のニーズに応じた方式を提供できます。

ニチダイの閉塞ダイセットは、油圧複動プレスを使用せず、メカプレスで閉塞鍛造を実現できるため、高い量産性を特長としています。

この技術については1987年に特許を取得しています。

閉塞ダイセットを使用するメリット

閉塞ダイセットを使用するメリットとして、バリ出し鍛造と比較して材料歩留まりが高いことが挙げられます。

また、材料歩留まりの向上によって切削レス化につながり、コストダウンにも貢献します。

閉塞ダイセットの採用製品

ニチダイの閉塞ダイセットが採用される代表的な製品には、次のようなものがあります。

  • ベベルギヤ
  • インナーレース
  • トリポート
  • スパイダー(クロスジョイント)

センシングダイセットとは

センシングダイセットとは、ダイセットに各種センサーを搭載し、生産状況や金型の状態に関するデータを取得するものです。

ニチダイでは、お客様の要望に応じてさまざまなセンサーを搭載できます。

AE(アコースティック・エミッション)センサーをはじめ、荷重・温度・電流・変位センサーなどを組み合わせることで、生産状況や金型の状態をより詳細に把握できます。

AEセンサーの仕組みや活用方法について詳しく知りたい方は、「AEセンサとは?異常検知の仕組みや振動センサとの違い、活用の用途を紹介」をご覧ください。

また、取得したデータをリアルタイムで可視化できる点も特徴です。

さらに、ニチダイが特許を取得した荷重センサー(ロードセル)は、現在使用しているダイセットや金型に新たに追加することも可能です。

センシング技術の基本や製造業における活用方法については、「センシング技術とは?製造業での活用方法・導入メリット・注意点を解説」をご覧ください。

AEセンサー

ロードセル

センシングデータの活用

センシングダイセットでは、センサーから得られたデータをさまざまな検討に活用しています。

現在は、金型寿命とデータの関係性の調査や、トライ型使用時のデータ変化の確認などを行っています。

また、取得したデータを分析し、金型状態の把握や成形条件の検討にも活用しています。

金型寿命予測への取り組み

ニチダイでは、センシングダイセットで取得したデータを活用し、将来的な金型寿命予測を目指しています。

取得したデータと実際の金型状態との関係を確認しながら、データ活用に取り組んでいます。

金型破損の種類や主な原因、予防への取り組みについては、「金型破損の原因と対策についてー寿命を延ばす予防アプローチ」で詳しく解説しています。

センシングダイセットの活用事例

センシングデータを活用し、金型寿命と成形条件の関係を評価した事例もあります。
取得したデータをもとに評価を行い、金型の長寿命化や成形条件の最適化に向けた知見を得ています。

ニチダイのダイセット技術

ニチダイは1969年からダイセットの設計・製作を手掛け、鍛造金型メーカーとして培った技術を活かし、冷間・温間・熱間鍛造用をはじめ、閉塞ダイセットやセンシングダイセットなどを展開しています。

ダイセットについては、国内累計500台以上の販売実績があります。

また、精密鍛造金型を手掛けるとともに、社内に量産事業を有していることも特徴です。

こうした環境を活かし、金型交換や段取り性まで考慮した設計ができることも強みです。

ダイセット単体だけでなく、鍛造金型に関する知見を設計に活かしています。

ダイセットに関するよくある質問

Q1. ダイセットと金型は同じものですか?

いいえ。

金型が製品を成形するためのものであるのに対し、ダイセットは金型をプレス機に取り付け、上型と下型の位置関係を正確に保つ、金型の基盤となる構造体です。

Q2. 閉塞ダイセットにはどのようなメリットがありますか?

バリ出し鍛造と比較して材料歩留まりが高く、材料歩留まりの向上によって切削レス化によるコストダウンにつながります。

Q3. ニチダイの閉塞ダイセットの特徴は何ですか?

両側閉塞では、パンタグラフによって上下パンチの速度比を制御できます。
また、顧客のニーズに応じて、バネ・ガス・油圧の各閉塞方式を提供できます。

Q4. センシングダイセットでは何が分かりますか?

AE、荷重、温度、電流、変位などのセンサーを組み合わせ、生産状況や金型の状態をより詳細に把握できます。

Q5. センシングダイセットで金型寿命を予測できますか?

現段階では、取得データを活用して金型寿命との関係性を調査しており、将来的な金型寿命予測を目指しています。

まとめ

ダイセットは、金型をプレス機に取り付け、上型と下型の位置関係を保ちながら、安定した鍛造・プレス加工を支える構造体です。

用途や加工条件によってさまざまな種類があり、冷間・温間・熱間鍛造用ダイセットのほか、閉塞ダイセットやセンシングダイセットなどがあります。

ニチダイでは、精密鍛造金型や社内の量産事業で培った知見を活かし、金型交換や段取り性まで考慮したダイセットの設計・製作を行っています。

ニチダイのダイセットについて、種類や特長をさらに詳しく知りたい方は、製品ページをご覧ください。

ダイセット|株式会社ニチダイ

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