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製造業の生産性を向上させるには?原因と取り組みの手順、成功事例を紹介

製造業の生産性を向上させるには?原因と取り組みの手順、成功事例を紹介

生産性は付加価値の拡大と資源の最適化を目的としたものです。製造現場において生産性の向上は、単なるコスト削減を超えて、企業の競争力を左右する重要課題となっています。

本コラムでは、生産性の定義から生産性を下げる原因、改善するためのステップについて、生産技術部 次長 花弥が解説します。

この記事でわかること

  • 製造業における「生産性」の正しい指標と計算方法
  • 生産性を下げる原因と解消するための具体的なステップ

製造業における「生産性」の定義、指標、計算方法

生産性とは「アウトプット(産出)÷ インプット(投入)」の数式で定義される指標です。資源あたりの成果の比率を高め、最適化することで、付加価値・成果を最大化することを目的としています。

  • アウトプット:製造された製品の量や、それによって生み出された付加価値などの成果物
  • インプット:生産のために投入された労働力、時間、設備、原材料などの経営資源

一方、生産性と混同されやすい「業務効率化」は、主にコスト削減などによって、インプットを減らす手段に焦点を当てた概念を指します。

項目生産性向上業務効率化
定義資源あたりの成果の比率を高める手順や時間のコストを削減する
目的アウトプットの拡大と資源の最適化インプットの削減

生産性向上には、単なるリソースの削減だけでなく、品質向上などを通じてアウトプットを高めることも極めて重要です。

製造現場の実力を測る代表的な指標は、従業員や労働時間に対する成果を示す「労働生産性」です。この際、分子となる「成果」には生産量だけでなく、売上から外部購入費などを差し引いた「付加価値額」を用いることで、より経営視点に近い評価が可能になります。

また、自動化が進む現場においては、機械設備の稼働効率を測定する「設備生産性」の視点も欠かせません。

  • 労働生産性=付加価値額(売上-外部購入費)/労働投入量(従業員数または労働時間)
  • 設備生産性=成果(付加価値額または生産量)/設備のリソース

人と設備、それぞれの観点から生産性を数値化し、これらを「見える化」することで、現状把握から対策へとつながる健全な現場管理と、改善サイクルを回すための土台が整います。

製造業の生産性を下げる3つの原因

製造現場の生産性は、単なる作業スピードだけでなく、仕組みの安定性や情報の透明性に大きく左右されます。現在、多くの企業において生産性を阻害している代表的な原因として、「業務の属人化」「マニュアルの不備」「部門間の情報断絶」の3点が挙げられます。

1. 業務の属人化と技術伝承の課題

特定のベテラン従業員が持つ「経験」や「勘」に依存する現場では、担当者の不在や離職が業務の停滞に直結するリスクを抱えています。教育に割く人手や時間の不足から若手への技術伝承が進まず、「特定の人がいなければラインが回らない」という事態も少なくありません。

また、属人化した作業は非効率な手法が放置される一因にもなります。現場の持続可能性を高めるためには、個人のスキルに頼らない「標準化」への取り組みが求められます。

2. マニュアルの不備によるヒューマンエラー

マニュアルの内容が古かったり曖昧だったりすることで、誤操作や重大事故を招く可能性が高まります。こうした手順の不徹底によるエラーは、不良品の増加にとどまらず、重大な労働災害や顧客クレームに発展する恐れがあります。

正しい手順が常に共有・更新されない環境は、現場全体の生産性を著しく停滞させる要因となります。

3. 部門間のコミュニケーション不足と情報の断絶

営業と現場、あるいは工程間の連携が不十分だと、トラブル対応の遅れや余剰在庫の発生を招きます。例えば、営業が受けた短納期依頼が現場へ迅速に共有されず、製造スケジュールが混乱するような事態は企業の信頼を損ないかねません。

こうしたコミュニケーションの断絶は情報の歪みを生み出し、現場での手戻りや修正作業を誘発します。現場単位の改善だけでなく、全社的な情報共有の仕組みを整えることが、長期的な生産効率の向上へとつながります。

製造業の生産性向上に取り組むための5ステップ

課題が明確になったら、次は体系的な手順に沿って改善を実行に移しましょう。ここでは、成果を出すための5つのステップを提案します。

ステップ1:現状の見える化とボトルネックの把握

まずは、現状の実力を数値や図で把握することが重要です。投入した人数や時間、生産数などを定量的に記録し、現場全員で共有する仕組みを整えましょう。

また、作業の動画撮影や稼働分析を通じて、全体の停滞を招いているボトルネックを特定します。課題を視覚的に共有することで、現場に自発的な改善の動機付けが生まれ、組織一丸となった取り組みが可能になります。

ステップ2:ECRSの原則による業務の取捨選択

特定した課題に対し「排除・結合・入れ替え・簡素化(ECRS)」の優先順位で業務フローを見直しましょう。まず、不要な工程を排除し、似た作業を結合させ、順序を入れ替え、最後に手順を簡素化します。

こうした無理・無駄な動作を削るアプローチは、コストをかけずに実行できる改善策です。現場担当者の意見を積極的に取り入れ、作業の重複や待ち時間を徹底的に排除する計画を立てることが、効率的な現場作りを支えます。

ステップ3:業務の標準化と動画マニュアルの活用

経験の浅い従業員でもベテランと同じ品質を維持できるよう、作業手順を標準化します。文字だけでは伝わりにくい「勘」や「コツ」を共有するには、動画マニュアルの導入が効果的です。

視覚的に動きを捉える仕組みを整えることで、教育工数を大幅に削減し、全社員の迅速なスキルアップを実現できます。

ステップ4:改善サイクル(PDCA)の継続的な運用

改善策を実施した後は、必ず目標数値を設定して効果を継続的にモニタリングしましょう。基準と実績の差を埋めるサイクルを回すことが、生産性向上のポイントです。

デジタル帳票などを活用して集計結果をリアルタイムでグラフ化すれば、異常の早期発見と迅速な対策が可能になります。絶えず基準を更新し、組織全体で改善していくことが重要です。

ステップ5:心理的安全性の向上と自律的な組織づくり

ハード面の対策を講じても、現場を動かすのは「人」に他なりません。従業員が否定を恐れず発言できる「心理的安全性」は、生産性を支える重要な土台となります。

試行錯誤を歓迎する環境を整えることで、現場主体の「ボトムアップ」な改善案が生まれるでしょう。また、効率化で生じた余力を教育や職場環境へ再投資することで、従業員の「エンゲージメント(貢献意欲)」が高まり、結果として「離職率」の低下にもつながります。

生産性向上につながったニチダイの事例

持続的な生産性向上を支える上で、人の経験や技能に依存しない仕組みはとても重要です。ここでは、ニチダイの生産性向上に対する具体的な取り組みを紹介します。

放電自動化システム

複数台の放電加工機をロボットで連結し、AWC・ATCを活用した自動加工システムを運用しています。これにより、1回の段取りで複数の金型の「荒加工」から「仕上げ」まで連続して行うことができ、段取り時間の削減と設備稼働率の向上が可能です。
さらに、三次元測定機を導入し、加工後の測定を機上で行うことで、工程集約による作業効率の向上と品質の安定化にも貢献しています。

ワイヤ自動化システム

「ギヤダイス放電用電極」などのワイヤ放電加工に、ロボット自動交換システムを導入しています。1回の段取りで複数形状の加工を実現するほか、搬入・搬出ロボットによる最大25本のスケジュール運転により、夜間・休日を含む24時間の無人稼働が可能です。
これらの取り組みにより、作業者による段取り替えの負担を低減し、省人化と設備稼働率の向上による生産性向上を両立しています。

最終工程の磨きの自動化

長年にわたり、磨き工程は手加工が主流であったため、作業者による品質のばらつきが生じやすく、また技能を次世代へ伝承するまでに多くの時間を要していました。
この課題を解決するために、ニチダイでは自社開発の自動LP機(NDAP)を開発・導入しています。その結果、作業の標準化による品質の安定化を実現するとともに、熟練技能者への依存度の低減や教育工数の削減、加工コストの低減にも貢献しています。

生産工程内での視える化(DX)

マシニングエリアでは、設備の稼働状況や作業実績の可視化をスモールスタートで導入しました。加工時間や停止時間を正確に把握することで、異常の早期発見と改善活動の迅速化を推進しています。また、今後は他工程への展開も予定しています。

これらの取り組みにより、放電加工やワイヤー加工、最終工程の磨きといった各工程の自動化を実現するとともに、生産設備の稼働状況や作業実績を可視化し、工程全体の状況を客観的に把握できる生産体制を構築しました。
人の経験や技能に依存していた作業を仕組みによって補完することで、属人化の解消と安定した品質の維持を可能にするほか、設備稼働率の向上や省人化を通じて、継続的な生産性向上につながる改善活動を推進しています。

生産・品質体制はこちらから

製造現場における生産性向上の本質と実践

生産性向上とは、投入資源に対する成果の比率を最大化し、付加価値を高める取り組みです。単なるコスト削減に留まる「業務効率化」とは異なり、付加価値額の向上や設備の稼働率最適化といった多角的な視点が不可欠です。

改善の実践においては、属人化や情報の断絶といった課題を解決し、現状の可視化から工程の見直し、動画マニュアルによる標準化までを体系的に進めることが成功の鍵となります。現場の自律的な改善意欲を引き出すことで、持続的な成長と競争力を支える強靭な組織基盤となるでしょう。

ニチダイがサポートする「トータルエンジニアリング」

ニチダイでは、CAE解析による工程設計から自社プレス機を活用した試作、量産支援までを一貫して担う「トータルエンジニアリング」を提供しています。

社内の専門部隊による最新の技術研究と、現場で培った自動化・可視化ノウハウを融合させることで、属人化の解消と設備稼働率の向上を目指します。また、開発から量産までを受託できる独自の開発支援システムで、多様なニーズへの柔軟な対応を実現しました。

現場の悩みを一貫して解決するニチダイのトータルエンジニアリングについて、具体的な支援内容を詳しく確認したい方は、ぜひお気軽にご相談ください 。

トータルエンジニアリング | 株式会社ニチダイ

製造業の生産性向上に関するよくある質問

ここでは、製造業の生産性向上に関して多く寄せられる質問にお答えします。

Q.生産性向上と業務効率化の違いは何ですか?

A. 生産性向上は「最小の投資で最大の成果を出すという取り組み」であり、業務効率化は「ムダを削る手段」を指します。

Q.現場の従業員が新しいツールの導入に消極的です。どうすべきですか?

A. まずは「現場の負担が減る」ことを実感してもらうスモールスタートが重要です。使い慣れた作業フローに近い形で導入し、小さな成功体験を積み重ねることで、現場の理解と納得感を高めることができます。
また、導入の目的となる「求める姿」を従業員と共有し、現場の声に寄り添いながら運用していくことが、継続的な改善の定着につながります。

Q.小規模な工場でも生産性向上に取り組めますか?

A. はい、可能です。高価な設備の導入前に、低コストで始められる改善策が数多くあります。

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