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AEセンサとは?異常検知の仕組みや振動センサとの違い、活用の用途を紹介

AEセンサとは?異常検知の仕組みや振動センサとの違い、活用の用途を紹介

AEセンサは、物体の内部で発生する弾性波を捉えることで、異常の兆候を早期に検知できる監視技術です。従来の振動監視では捉えにくい初期の変化を把握できる点が特徴であり、設備や材料の状態監視に幅広く活用されています。

本コラムでは、AEセンサの基礎的な原理や種類、振動センサとの違いについて解説します。

※本コラムは精密鍛造分野における実用観点での解説です。

【この記事でわかること】

  • AEセンサの仕組みや原理、センサの種類などの基礎知識
  • AEセンサと振動センサの違い
  • 現場での実用的な活用法

AEセンサとは、材料の微細な変化を検知する装置

AEセンサ(アコースティック・エミッション・センサ)は、材料が変形したり、破壊される際に放出される弾性波を検知する装置です。物体の内部で進行する異変を弾性波から察知できるため、一般的に橋やトンネルといった大型施設や、製造機器などの検査に用いられています。

AEセンサが異常を検知する仕組み

AEセンサは、上述の通り、弾性波を検知する装置です。

弾性波とは、物体が外から力を受けて変形する際に生じる波動のことです。物体に変形・亀裂が生じると、それまで内部に蓄積されていたエネルギーが急激に解放され、弾性波として周囲に伝わります。この現象を「アコースティック・エミッション」と呼びます。

弾性波は数10kHz~数MHzの高い周波数のため、人の耳で聞き取ることは困難です。AEセンサはこの弾性波を計測することで、物体を破壊することなく、その材料内部で進行する極小の異変を検知できます。

AEセンサが異常を検知する流れを整理すると、以下の通りです。

  1. 物体に過度なストレスがかかり、弾性波が生じます
  2. 発生した弾性波が、物体の表面に伝わります
  3. 表面に設置されたAEセンサが弾性波を検知し、振動を電圧に変換します
  4. 専用の機器を使用し、物体の状態を確認します

AEセンサの種類

AEセンサには、特定の周波数に絞って高感度に反応する「共振型」と、幅広い波形をありのままに捉える「広帯域型」があります。

  • 共振型AEセンサ:特定の周波数帯域で最大感度となるよう設計されたセンサ。狙いとする周波数が明確な場合に適しており、不具合につながる特定の異常を検知することが期待できる
  • 広帯域型センサ:低周波から高周波までをフラットに捉える特性がある。取得できる情報量が多く、複雑な異常の解析や原因特定に適しているとされる

AEセンサと振動センサの違い

AEセンサと一般的な振動センサは、混同されやすいものの全くの別物です。

  • AEセンサ:人の耳には聞こえない「超高周波の波」を測り、目に見えないレベルの損傷を検知
  • 振動センサ:ギアの摩耗や軸のガタつきなどの「物理的な揺れ」を検知

AEセンサは、表面に傷が見えず、音や振動としても現れない初期段階で異常を発見します。一方、一般的な振動センサは、損傷が進行し物理的なガタつきや振れが生じてから反応します。

つまり、AEセンサが損傷が表面化する前に検知するのに対し、振動センサは損傷の事後診断に優れているといえます。
回転速度が極めて遅い(100rpm以下)機械の場合、異常が起きても発生する振動エネルギーが小さすぎて、通常のノイズに埋もれてしまいます。AEセンサは、回転速度に関わらず物体の異常を捉えられるため、低速機でも確実な診断が可能です。

精密鍛造の課題を解決するAEセンサの活用用途

AEセンサは、精密鍛造の現場でも採用されています。ここでは、主な3つの用途を紹介します。

外観では判別できない「内部割れ(クラック)」の検知

表面に異常が現れない内部割れ(クラック)は、出荷後の品質不具合を招く大きな要因です。AEセンサは、加工中に発生する内部の微小な損傷を弾性波として計測し、成形と同時に良否判定を行います。早期に異常を特定できれば、後工程での手戻りや材料の無駄を最小限に抑えられるでしょう。

従来のような全数破壊検査を行う手間を省きつつ、非破壊で製品の健全性を把握できるのは、メーカーにとって大きな信頼獲得に繋がります。抜き取り検査では見落としていた一過性の不具合も、全数リアルタイム監視によって確実に排除できる体制が整います。

金型の損傷監視とメンテナンスの最適化

AEセンサは、鍛造やプレス加工の現場において、金型表面で発生する微細な「摩耗」や「焼き付き」の兆候をリアルタイムで捉える役割を担います。これにより、金型が修復不能な全損に至る前の段階で異常を察知し、計画的なメンテナンスを支援することが可能です。

生産計画を狂わせる突発的なライン停止を防ぐだけでなく、金型自体の寿命を最大限に引き出すことができるため、製造原価の低減とランニングコストの抑制に直結する具体的なメリットをもたらします。

プレス騒音下での自動検査と品質の標準化

打撃音が激しいプレスや鍛造の工程下での異常を正確に把握するには、AEセンサ単体ではなく、多種多様なセンサ情報を総合的に組み合わせることが不可欠です。     しかし、AEセンサをその一つとして導入する最大の意義は、目視や聴覚では捉えきれない微細な異常を客観的な波形データとして抽出できる点にあります。

AEセンサを活用することで、担当者の経験に依存しない自動検査体制と品質の標準化につながります。

AEセンサを活用した異常検知と品質管理

AEセンサは、材料内部で発生する弾性波を捉えることで、異常の兆候を早期に検知できる監視技術です。従来の振動監視では捉えにくい初期の変化を把握できる点が特徴であり、設備や材料の状態監視に活用されています。
精密鍛造の現場では、金型の初期クラック検知や金型損傷の監視などに利用されており、加工中の異常を早期に把握する手段として役立っています。品質管理の高度化や予防保全を進めるうえでも、有効な監視技術といえるでしょう。

精密鍛造のDXを実現する「鍛造DX」

ニチダイでは、精密鍛造金型の専門メーカーとして培った知見を活かし、AEセンサをはじめとする各種センサを組み込んだ「インテリジェントダイセット」とデータを処理する制御盤を合わせた「ものづくりマネジメントシステム」を展開しています。荷重や変位などのデータを組み合わせて取得し、最適なデータ処理をすることで、成形中の金型状態を可視化し、異常の兆候を早期に把握します。このようなデータに基づく管理は、品質管理の高度化にもつながります。
内部欠陥の検知や金型状態の監視などについては、ぜひご相談ください。
ニチダイの精密鍛造DX

AEセンサに関するよくあるご質問(FAQ

ここでは、AEセンサに関して多く寄せられる質問にお答えします。

Q. 既存のダイセットにもAEセンサを後付けで導入できますか?

A. 可能です。AEセンサはダイセットに取り付けることができるため、プレス機の年式やメーカーを問わず導入できます。大規模な設備改造を行わずに監視体制を構築できる点も特徴です。

Q. 荷重計(ロードセル)とAEセンサの使い分けはどうすれば良いですか?

A.  金型の異常検知では、AEと荷重、その他センサを組み合わせ、統合的に異常を判断します。荷重計は加工時の荷重を測定しますが、AEセンサは材料の変形や破壊に伴う微小な弾性波を検知します。荷重の変化には現れない微小な割れや初期クラックをAEが補完することで、より高精度な監視が可能になります。

Q. AEセンサで収集したデータの解析には、高度な専門知識が必要ですか?

A.  データの詳細な解析には相応の専門知識が必要です。AEセンサの活用には他センサの情報と統合した高度な分析が欠かせません。鍛造DXのような基盤が整うことで、AE信号と多種多様なデータを組み合わせた、より実践的な異常判断が実現します。

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