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【基礎知識】切削加工の特徴や種類とは?鍛造との違いや製品例について

【基礎知識】切削加工の特徴や種類とは?鍛造との違いや製品例について

切削加工は、高精度な部品や複雑形状の製作に欠かせない加工技術として、多くの製造現場で活用されています。一方で、材料ロスや工具摩耗、バリ・反りといった不良の発生など、実際の運用にあたって検討すべき技術的課題も存在します。 
本コラムでは、切削加工の基礎知識から、特徴、鍛造など他の加工法との違い、加工方式の種類、メリット・デメリットまで解説します。

切削加工とは何か

切削加工は、刃物で材料を削り取りながら目的の形状に仕上げる「除去加工」です。自動車のシャフト、精密機器の筐体、金型部品など、身近な製品の多くがこの加工を経て完成しています。まずは切削加工の基本的な仕組みを理解していきましょう。

切削加工の原理

切削加工では、回転または直線的に動く工具の刃先を材料に押し当て、材料の一部を削り取ります。この際、除去された部分は切りくず(切粉)として排出されます。

切りくずのメカニズム

切りくずの形状は、加工がうまくいっているかを判断する重要な手がかりです。
工具の刃先が材料に食い込むと、材料内部に大きなせん断力が働き、ある面(せん断面)で材料が分離します。このとき生じるのが切りくずです。連続した長い切りくずは、加工面が滑らかになりやすい反面、工具に絡みついて作業を妨げることがあります。
一方、短く破断した切りくずは排出しやすいものの、加工面が粗くなる傾向があります。
切削条件や工具形状を調整し、切りくずを適切に制御することで、加工品質を安定させることができます。

鍛造・プレス・鋳造加工との違い

部品を作る方法は切削加工だけではありません。主な加工法として、鍛造、プレス、鋳造があります。

鍛造加工

材料を金型で押し潰したり伸ばしたりして変形させる塑性加工です。材料の結晶組織が緻密になり、強度や靭性が向上します。完成形に近い形状(ニアネットシェイプ)で成形できれば、後工程の切削代を大幅に減らせます。中〜大量生産に適しています。

鍛造加工については、以下で詳しく解説しています。

鍛造とは?種類・メリット・鋳造との違いまで基礎からわかりやすく解説

プレス加工

板材を金型で打ち抜いたり曲げたりする方法です。自動車のボディパネルや家電製品の筐体など、薄板の大量生産に適しています。

プレス加工については、以下で詳しく解説しています。

プレス加工とは?特徴や他工法との違い、工法選定のポイントを解説

鋳造加工

溶かした金属を型に流し込んで固める方法です。複雑な内部形状や大型部品の製作に強みがあります。精度が求められる部分は後工程で切削仕上げを行います。

切削加工の代表的な製品例

切削加工は幅広い産業分野で活用されています。

  • 自動車部品:エンジンシャフト、ピストンピン、ギア、ベアリング部品
  • 精密機器:光学機器筐体、測定器部品、センサー部品
  • 金型:プレス金型、射出成形金型の入れ子
  • 航空機部品:タービンブレード、構造部品、精密ファスナー
  • 医療機器:人工関節、手術器具、インプラント部品

これらの製品では、切削加工の精度と信頼性が品質を直接左右します。

切削加工の種類(加工方式・機械・工具)

切削加工にはさまざまな方式があり、それぞれが得意とする形状や加工内容が異なります。ここでは、加工方式、使用する機械、工具の種類を整理していきます。

主な切削加工の方式

切削加工の方式は、「何を回転させるか」によって大きく2つに分類されます。

旋盤(せんばん)加工

材料を回転させ、固定された工具で削る加工方法です。シャフトやボルトのような丸物部品の製作に適しており、円筒形状や円錐形状の製作、ねじ切りや溝加工も可能です。

フライス加工

回転する工具(フライスカッター、エンドミルなど)を材料に当てて削る方法です。工具を複数の方向に動かせるため、平面削り・溝加工・段差加工など多様な形状に対応でき、複雑な形状の製作にも向いています。

切削加工の加工方式
加工方式回転させるもの得意な形状主な加工方法
旋盤加工材料円筒・円錐形状などの回転体外径・内径削り、溝加工、中ぐり、穴あけ、ねじ切り
フライス加工工具平面、複雑な輪郭形状、3次元曲面平面削り、溝加工、段差加工、輪郭削り、中ぐり、穴あけ、タップ加工

※中ぐり、穴あけ、ねじ加工(ねじ切り、タップ加工)は、旋盤・フライスいずれの方式でも実施可能です。

使用する機械の種類

近年の切削加工現場では、NC旋盤やマシニングセンタなど、自動化・高精度化が進んだ工作機械が広く用いられています。

NC旋盤

数値制御により自動で加工を行う旋盤です。プログラムを組むことで同じ形状の部品を安定して量産できるため、生産効率が高く、品質のばらつきも抑えられます。

マシニングセンタ

自動工具交換機能(ATC)を持ち、ドリル、エンドミル、タップなどを自動で切り替えながら多工程の加工を一台でこなせます。段取り時間が短縮され、複雑な部品も効率的に製作できます。プログラムにより連続加工が可能なため、生産性が高く、人的ミスも減らせます。

5軸加工機

X・Y・Z軸に加えて2つの回転軸を持ち、工具と材料の角度を自由に変えられます。複雑な曲面や多面加工が一度のセッティングで可能になるため、航空機部品や医療機器など、高度な形状精度が求められる分野で活躍しています。段取り回数が減ることで、加工精度の向上と工数削減の両立が図れます。

切削工具の種類

切削工具は「何で削るか」を決める重要な要素であり、形状や材質によって加工結果に大きく影響します。

バイト

旋盤加工で使用される工具で、材料を削り取る刃先部分を持ちます。外径削り用、内径削り用、ねじ切り用など用途ごとに形状が異なります。

エンドミル

フライス加工で使用される回転工具で、側面と先端に刃を持ちます。溝加工、ポケット加工、輪郭削りなど幅広い用途に対応し、2枚刃、4枚刃、ボールエンドミルなど種類も豊富です。

ドリル

穴あけ加工に使用される工具です。ねじれ刃を持つツイストドリルが一般的で、深穴加工や高精度な穴加工には専用のドリルが使われます。

タップ

めねじを加工するための工具です。ボルトを締結するためのねじ穴加工に用いられます。

工具の材質も性能を左右します。高速度鋼(HSS)は汎用性が高く、超硬合金は硬度と耐摩耗性に優れています。さらに、TiN(窒化チタン)やTiAlN(窒化チタンアルミ)などのコーティングを施すことで、工具寿命の延長や切削性能の向上が図れます。

切削加工のメリット・デメリット

切削加工を採用すべきかどうかを判断するには、メリットとデメリットの両面を理解することが重要です。

切削加工の主なメリット

小ロット・試作品に強い

1個からでも製作可能です。試作品の製作や、多品種少量生産、カスタム品の製造にも対応できます。初期投資を抑えて製品開発を進められます。

設計変更に柔軟に対応できる

NCプログラムの修正だけで対応できるため、開発期間の短縮や、改良を重ねながらの製品開発に適しています。

後工程を削減できる場合がある

用途によっては研磨や表面処理といった後工程を省略でき、工程短縮につながります。

切削加工の主なデメリット

材料コストが高くなりやすい

とくに複雑な形状では、素材の大部分を削り取ることになり、材料コストが膨らむ傾向があります。

工具コストがかかる

切削工具の定期的な交換が必要であり、高硬度材料や難削材では工具コストが生産コストの大きな割合を占めることがあります。

加工時間がかかる

一つひとつ削り出すため、大量生産では加工時間が長くなります。複雑な形状や高精度な仕上げが必要な場合は、さらに時間がかかります。

品質トラブルが起きやすい

バリ、反り、寸法不良、面粗さ不良といった品質トラブルが発生することがあります。

これらのメリット・デメリットを踏まえ、切削加工が最適かどうかを判断することが重要です。

設計・工程で押さえるべきポイント

切削加工の品質と効率を向上させるポイントを、設計・加工・不良対策の各段階で整理します。

設計段階のポイント――後工程の負荷を減らす

公差の最適化

すべての寸法に±0.01mm程度のような厳しい公差を設定すると、加工工数が増え、測定回数も多くなります。機能上必要な箇所だけに絞ることで、コストを抑えられます。

エッジ形状の工夫

鋭角なエッジ(R0)は工具への負荷が大きく、バリや欠けが発生しやすくなります。
一般的にC0.3~1.0やR0.2~0.5程度の面取りやR形状を設けることで、工具寿命が延びやすく、加工品質も安定しやすくなります。

面粗さ指定の適正化

機能上必要のない箇所まで過度に細かい面粗さ(Ra0.4μm以下など)を要求すると、仕上げ工程が追加で必要になり、加工時間が大幅に増えます。摺動面や密封面など、本当に必要な箇所に絞りましょう。

加工段階のポイント――条件と工具の最適管理

切削条件の最適化

回転数、送り速度、切込み深さは、材料や工具、機械の性能に応じて適切な条件範囲が存在します。メーカー推奨値を参考にしながら、実際の加工で微調整を重ねることで、加工時間の短縮または工具寿命の延長、あるいは両者のバランス最適化が可能になります。
材料の硬さ、工具の材質、求められる表面粗さ、加工目的によって最適条件は変わるため、加工データを蓄積し、ノウハウとして社内で共有することが重要です。

工具寿命の計画的管理

工具が摩耗したまま使い続けると、加工精度が低下し、不良率が上がる可能性があります。工具の使用回数や加工時間を記録し、適切なタイミングで交換することで、安定した品質を維持できます。予防的な交換を行うことで、突然の工具破損による生産停止や、不良品の大量発生といったトラブルを防げます。

主な不良とその対策――トラブルへの対処法

不良の種類主な原因主な対策
バリ工具の摩耗、切削方向や送り速度の不適合工具の計画的交換、バリが出にくい工具経路の設定、送り速度・切込み量の最適化、バリ取り工程の追加
反り加工熱、材料内部の残留応力、薄肉・長尺形状切削油の十分な供給、切込み量の削減、応力除去焼鈍(アニール処理)、治具による確実な固定、粗加工と仕上げ加工の間に冷却時間を確保
面粗さ不良切削速度や送り速度の不適合、工具摩耗、刃先形状の不適合、工具のたわみメーカー推奨条件を参考に微調整、工具の刃先形状や材質の見直し、工具摩耗状態の定期確認、工具突き出し長さの短縮
チャタリング(ビビリ振動)工具や加工物の剛性不足、機械の共振工具突き出し長さの最小化、切削条件(回転数・送り)の変更で共振回避、剛性の高い治具の使用、形状が許す範囲で工具径を太くして剛性確保

不良の原因は複合的なケースも多いため、一つひとつ切り分けて対処することが重要です。
バリの発生については、以下で詳しく解説しています。
バリが発生する原因と対策―金型設計・摩耗・成形条件の観点から解説

切削加工を理解し、最適な加工法を選定する

切削加工は、高い寸法精度と良好な表面粗さを実現できる加工技術であり、精密部品製造の現場で広く採用されています。金型を必要としないため、小ロットや試作品の製作、設計変更への柔軟な対応が可能です。
一方で、材料コストや加工時間、品質管理といった課題もあります。設計段階での公差やエッジ形状の最適化、加工段階での切削条件と工具管理、不良発生時の迅速な対処など、各段階でのポイントを押さえることが重要です。
また、鍛造やプレス、鋳造といった他の加工法との組み合わせを検討することで、さらに効率的な製造プロセスを構築できます。
切削加工の特性を正しく理解し、製品の形状、精度要求、生産数量に応じて最適な加工法を選定することが、競争力のあるものづくりにつながります。

ニチダイの精密鍛造技術で、切削工程を大幅に削減

ニチダイは、精密鍛造金型のトップメーカーとして、創業以来培ってきた高度な技術を駆使し、それぞれのお客様の要望・用途に最適な製品を提供しています。

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